Javaでの演算処理
演算
第一日目では、System.out.print()およびprintln()を用いて、様々なものを表示してみました。ここで更に、Javaを用いた計算について学んでいくことにしましょう。
プログラミングの世界では、こういった計算のことを、演算と呼びます。これは、以下、簡単な演算のプログラムをみてみることにしましょう。
サンプロプログラム
Sample201.javapackage day2; public class Sample201 { public static void main(String[] args) { System.out.print(5 + " + " + 2 + " = "); System.out.println(5+2); // 足し算 System.out.print(5 + " - " + 2 + " = "); System.out.println(5-2); // 引き算 System.out.print(5 + " * " + 2 + " = "); System.out.println(5*2); // 掛算 System.out.print(5 + " / " + 2 + " = "); System.out.print(5/2); // 割り算 System.out.print(" 余り "); System.out.println(5%2); // 剰余 } }
5 - 2 = 3
5 * 2 = 10
5 / 2 = 2 余り 1
実行結果からもわかるとおり、このプログラムを実行すると、様々な計算結果が出てきます。
文字列と数値の接続
6行目で、数値と文字列の間が、「+」演算子でつながれていますが、これは表示するものを接続するという意味です。このときの「+」演算子は、数値の加算の意味ではなく、表示するものを接続するという意味です。
文字列の接続System.out.println("答え:"+3); → 「答え:3」と表示
演算子
このように、Javaで様々な演算を行う記号のことを演算子(えんざんし)と呼びます。足し算の+や、引き算の-はわかるものの、その他の記号は何でしょう?Javaで使用する演算子は以下の表2-1のようなものがあります。
演算子 | 読み方 | 意味 | 使用例 |
---|---|---|---|
+ | プラス | 足し算を行う演算子 | 5 + 5 |
- | マイナス | 引き算を行う演算子 | 7 - 3 |
* | アスタリスク | 掛け算を行う演算子 | 7 * 3 |
/ | スラッシュ | 割り算を行う演算子 | 7 / 3 |
% | パーセント | 剰余(じょうよ)演算子。割り算の余り | 7 % 3 |
評価和わかるとおり、*が掛算、/が割り算を表す記号であることがわかると思います。また、%の記号は、かなりJavaのプログラミングでは使用頻度が高いので、覚えておきましょう。
変数
Javaと変数
Javaを用いれば、様々な演算ができることはすでにわかりました。しかし、これでは、決められた値の計算しかできません。実際は、色々な数値を用いて計算することが想定されるため、これでは不便です。 このように、値が定まった数のことを、定数と言いますが、それに対し、Javaには、値を常に変えることができる数が存在するのです。これを、変数と言います。
サンプルプログラム
まずは、以下のサンプルを実行してみてください。
Sample202.javapackage day2; public class Sample202 { public static void main(String[] args) { int a; // 変数の宣言 int b = 3; // 初期化と代入を同時に行う。 int add,sub; // 複数の変数を同時に宣言 double avg; // int以外の変数を宣言 a = 6; // 代入(最初に値を入れるので、”初期化”と言う。 add = a + b; // a,bの和を求める。 sub = a - b; // a,bの差を求める。 avg = (a + b) / 2.0; // a,bの平均値を求める。 System.out.println(a + " + " + b + " = " + add); System.out.println(a + " - " + b + " = " + sub); System.out.println(a + "と" + b + "の平均値:" + avg); } }
6 - 3 = 3
6と3の平均値 4.5
プログラムの中にa、b、add、sub、avgといった文字列が出ていますが、これが変数です。int aとある部分を、変数の宣言と言います。そのあと、a=6のようにすると、値が入ります。これを代入と言います。(図2-1)特に、変数を宣言したときに、最初に行う代入のことを、初期化と言います。
代入
数値が代入された変数は、その数値として扱う事が出来ます。例えば、a=6とすれば、aは別の値が代入されるまで、"6"として扱う事が出来ます。変数は原則的に何度も値を変えるとが可能です。つまり、変数は値を変えることが出来るのです。
変数の初期化と代入a = 6; ← 代入。(変数に値を入れる)
図2-1.変数の宣言と代入のイメージ
演算の優先順位
プログラム中に、()(括弧)がありますが、これは、計算の優先順位を変更するものです。通常、
括弧が無い場合の計算とすると、最初に掛け算の演算である「2*3」が実行され、その結果の6に1が加算されます。したがって、結果は7になります。しかし、
括弧を用いた計算とすると、()内の計算を先に行い、その結果である、3と次の3が掛けられることになります。このように、Javaにも、数学と同じような演算子の優先順位があります。 Javaには様々な演算があるため、ここでは全てを説明するのは省略しますが、加減乗除といった基本的な数値計算に関しては、数学と同じルールに従うと思ってほぼ間違いありません。(図2-2)
図2-2.()を使用した場合と、使用しない場合の演算の処理
データ型
では、初期化の際に変数の先頭についている、intや、doubleといった文字列は何でしょうか?このような文字列のことを、データ型と言い、その変数がどのような値を扱うのかを示しています。 例えば、intは、整数型のデータ型を表し、"int a"とすると、"aは整数の値が入る変数である。"ことを意味します。なお、データ型には以下のようなものがあります。(表2-3)
データ型 | 説明 |
---|---|
boolean | true or false |
char | 16ビットUnicode文字 ¥u0000~¥uFFFF |
byte | 8ビット整数 -128~127 |
short | 16ビット整数 -32768~32767 |
int | 32ビット整数 -2147483648~2147483647 |
long | 64ビット整数 -9223372036854775808~9223372036854775807 |
float | 32ビット単精度浮動小数点数 |
double | 64ビット倍精度浮動小数点数 |
初期化
再び変数の話に戻りましょう。変数は、宣言時に値を代入(初期化)することが出来ます。記述方法は以下のとおりです。
変数の宣言と初期化を同時に行うint a = 6; | ← 変数の宣言と同時に値を代入(初期化) |
また、以下のように、,(コンマ)で区切ることにより同時に複数の変数を宣言したり、初期化することも可能です。
複数の変数を同時に宣言int a,b; | ← 変数a,bを宣言 |
int a=1,b=2; | ← 変数a,bを初期化 |
int a,b=1; | ← 変数a,bを宣言、bのみを初期化 |
変数の命名規則
Javaの変数の命名規則
変数の名前は、基本的にプログラマーが自由につけることが許されています。通常、アルファベット一文字か、その組み合わせといったものが使われる場合がほとんどです。しかし、何でも良いというわけではなく、以下のようなルールがあります。
- 使用できる文字は半角の英文字(A?Z,a?z)、数字(0?9)、アンダーバー(_)、$。(例:abc、i、_hello、num1、$aなど)
- 変数名の最初の文字を数字にすることは出来ない。必ず英文字およびアンダーバーからはじめること。(例:a123 → ○ 123a → ×)
- 英文字の大文字と小文字は別の文字として扱われる。(例:ABCとabcは違う変数とみなされる。)
- 規定されているJavaの予約語・定数を使ってはいけない。
予約語と定数
なお、予約語とは言語の仕様で使い方が決められている単語のことで、Javaの予約語は以下のとおりです。(表2-4)
abstract | assert | boolean | break | byte |
case | catch | char | class | const |
continue | default | do | double | else |
enum | extends | final | finally | float |
for | goto | if | implements | import |
instanceof | int | interface | long | native |
new | package | private | protected | public |
return | short | static | strictfp | super |
switch | synchrnized | this | throw | throws |
transient | try | void | volatile | while |
さらに、Java言語の予約語は以下の通りになります。(表2-5.)
true | false | null |
代入演算子
代入と演算
すでに述べたとおり、変数に値を入れることを代入と言いました。代入とは例えば以下のように記述します。
代入処理a = 1; | ← 変数aに1を代入 |
a = b; | ← 変数aに変数bの値を代入 |
d = 4.0; | ← 変数dに4.0を代入 |
ここで気をつけたいのが、代入で使用する=(イコール)記号の意味です。数学で、=記号は、左辺と右辺の値が等しい、という場合に用いられる記号です。しかし、Javaで代入に用いる=は、少し意味が違います。
代入におけるイコールは、右辺の値を左辺の変数に代入するという意味になるのです。そのため、例えば
自身を用いた計算結果を代入するa = a + 1; | ← ① aに、a+1の値を代入する。 |
b = b * 5; | ← ② bに、b*5の値を代入する。 |
といった記述方法も可能になります。例えば、①ですが、仮に最初の段階でaに4が入っていたとすると、そこに1を足した5がaに代入されます。についても同様で、bに2が入っていたら、2に5をかけた値、つまり10がbに入ります。
Sample203.javapackage day2; public class Sample203 { public static void main(String[] args) { // 使用する変数の定義 int a1=2,b1=2,c1=2,d1=2; // 変数の宣言(1) int a2=2,b2=2,c2=2,d2=2; // 変数の宣言(2) // 普通の演算による計算と代入 a1 = a1 + 1; b1 = b1 - 1; c1 = c1 * 2; d1 = d1 / 2; // 代入演算による計算 a2 += 1; b2 -= 1; c2 *= 2; d2 /= 2; System.out.println("a1="+a1+" b1=" + b1+ " c1="+c1+" d1="+d1); System.out.println("a2="+a2+" b2=" + b2+ " c2="+c2+" d2="+d2); } }
a2=3 b2=1 c2=4 d2=1
代入演算子
実行結果を見れば判る通り、a1とa2~d1とd2の組み合わせはそれぞれ、記述の仕方が違うだけで、結果が同じであることが判ります。このように、代入演算を用いれば、短い記述で同様の結果を得ることが出来ることがわかります。
Javaにおける主な代入演算は、以下のとおりです。(表2-6.)
演算子 | 使用例 | 意味 |
---|---|---|
+= | a+=1; | a=a+1; |
-= | a-=1; | a=a-1; |
*= | a*=2; | a=a*2; |
/= | a/=2; | a=a/2; |
%= | a%=2; | a=a%2; |
キャストとデータの型変換
サンプルプログラム
次に、型の異なる変数に値を代入するケースを見てみましょう。例えば、整数型の変数の値を実数型の変数に代入するような処理です。以下のサンプルを見てみましょう。
Sample204.javapackage day2; public class Sample204 { public static void main(String[] args) { int a; double b,c,d; a = (int)1.23; // キャストで代入 b = 1.23; c = 10; // キャストなしで代入 d = (double)c; // キャストありで代入 System.out.println("a=" + a + " b=" + b + " c=" + c + " d=" + d); } }
キャスト
このプログラムでは、8行目でdouble型からint型の変換と、11行目でint型から変換からdouble型への変換を行っています。実行結果から見てわかるとおり、前者の場合、小数点以下の数値が切り捨てられ、後者の場合は、整数に変換されていることがわかります。
8行目と、11行目では、変換する値への型変換がおこなわれています。頭に(int)や(double)などと、変換したい値の型を先頭につけることを、キャストと言います。
キャストd = (double)c;
aはint型の変換なので、double型の変数を代入する際、先頭に(int)とつけ、e2は(double)なので、先頭に(int)とつけることにより、型の変換を行います。このとき、キャストを省略するとエラーになります。また、この処理の結果、小数点以下の内容は省略されます。
また、11行目では整数型を実数型に変換する型変換が行われていますが、同じ変換でも、整数から実数への変換の場合、キャストは省略してもエラーになりません。
文字列の変数
サンプルプログラム
数値などのほかに、Javaでは文字列を変数として扱うことができます。文字列の変数を宣言するには、Stringを使います。厳密に言うと、これはintやdoubleなどといったデータ型ではありませんが、データ型と同じように扱うことができます。まずは、以下のサンプルを実行してみてください。
Sample205.javapackage day2; public class Sample205 { public static void main(String[] args) { String s1,s2,s3; s1 = "ABC"; // s1に文字列「ABC」を代入 s2 = "DEF"; // s1に文字列「ABC」を代入 s3 = s1 + s2; // s3に、s1とs2を結合したものを代入 System.out.println(s1); System.out.println(s2); System.out.println(s1 + s2); System.out.println(s3); } }
DEF
ABCDEF
ABCDEF
実行結果を見てもわかるとおり、変数s1、s2、s3にそれぞれ変数が代入されています。s1、s2には、文字列「ABC」、「DEF」がそれぞれ代入されています。s3には、それぞれを+演算子で結合したものが入っています。
この+演算子により、文字列の変数同士を結合することが可能です。したがって、s3には、二つを結合した「ABCDEF」が代入されています。
定数
サンプルプログラム
変数は、自由に値を変えることが可能です。しかし、何らかの理由で、定数など、値を変えたいようなことがあります。その時便利なのが、final(ファイナル)変数です。以下のプログラムを実行してみてください。
Sample206.javapackage day2; public class Sample206 { public static void main(String[] args) { final int NUMBER = 100; final String STRING = "Hoge"; System.out.println(NUMBER); System.out.println(STRING); // finalがついた変数は値を変えられない //NUMBER = 100; //STRING = "fuga"; } }
Hoge
final変数
プログラムの6行目および、7行目で、それぞれint型、String型の変数を定義し、初期値を設定しています。8、9行目でその結果を表示していますが、ここまでは、今まで学習してきた変数と変わりません。
しかし、11行目および12行目のコメントをとってみてください。エラーが発生します。つまり、finalがついた変数は、一度定義したら、二度と値を変更することが出来ないのです。そのため、finalは、円周率のような、値を変えられたら困るような値に使用するのが一般的です。
また、絶対というきまりはありませんが、一般に、finalを用いて定数を定義する場合、変数名は大文字にするという習慣があります。これは文法上の決まりではありませんが、一般の変数と定数を区別するには大変便利です。
練習問題 : 問題2.